私たちの考える 「アラスミ・アーツカウンシル」発表
グループB:アラウンドすみだ川を能動的につなぐ 水先案内人 アラスミ・アーツカウンシル
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グループBは概念としての船を地域資源として、アーティストを乗せて行政に届ける、その案内役となる組織を構想。行政とのディスカッションではマッチングの課題などが挙げられた。
行政とアーティストの間を取り持つ「案内人」とは?
台東区
学生
台東区
足立区
学生
足立区
学生
足立区
墨田区
「地域資源」を切り口として、アプローチをどう工夫するか?
台東区
学生
足立区
学生
台東区
足立区
学生
足立区
台東区
墨田区
グループB総評
担当コーチ:森隆一郎(東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科 特任助教)
グループBのアラスミ・アーツカウンシルは、地域で起こる面白くて大切そうな活動をより面白がるために、その面白さの起点になる人や団体と、それを面白がる人(=アラスミ・アーツカウンシル)が同じ船に乗り込んで、さらに一緒に面白がってくれ、助けてもくれるような人や組織にも乗船をお願いして「さて、どちらへ舵を切りましょうか」と行き先を乗船者と共に考えるようなものでした。
では、実際のアーツカウンシルの業務がどんなものかといえば、助成に応募してくれた方々の審査を経て、アウトプットを観に行って、成果を評価するというのが標準的なやり方なのですが、こうやって書いてみるとその過程はなにか冷たい感じがします。ここで学生たちが提案したのは、アウトプットに至る前、表現が生まれようとする過程に積極的に関与して、共に悩み行き先を考えましょうということでした。手間はかかるかもしれませんが、このやり方はただ発表の機会を助成するよりも、伸びしろ部分が大きくて、面白くて大切な活動につながる可能性が高いだろうなと想像しました。
アイデアの源泉には、日頃実践しているアートプロジェクトでの体験や3年間のアラスミでの学びが活かされていると思うのですが、そこでこういう存在が必要だと感じたからこそ出てきたアイデアだったのではないかなと思うのです。そこには、表現を世に届けたいという芸大生ならではのある種の切実さがあるように思います。
一方、その視点を持ったまま私たちの暮らす社会に目を転じてみると、同じような切実さを抱える人たちの存在に気づきやすくなるかもしれません。「社会がこうだったら良いのに」「こんなに大変な思いをしているのに世間がまったく反応してくれない」そういう人たちに。
アートは、特にアートプロジェクトは、その表現手法の幅や、送り手受け手の関係など、世間の様々な境界を揺るがせて、産業別の機能に特化してしまった社会に新たな視点をもたらすものでもあると思います。そういう越境的な態度を持って、社会に対して切実な思いを持つ人々にも船に同乗してもらい、ただ話を聞く、ただ共に居るだけでも、その人やその周りの人たちにとっての希望となるのではないだろうか、などと想像を膨らませてみました。
事業メニューには「すすんで、結ぶ」というテーマに沿った様々な出会いの機会が用意されています。散歩をベースに楽しく地域情報を採取してマップに落とし込むことなど、地域メディアや地元の不動産会社さんたちとも協働できたら楽しそうです。また、行政の各種窓口と連携することもとても大切な視点だと思います。ある特定の相談窓口が、その分野の情報に特化しつつも、周辺の役に立ちそうな情報にリーチしていて、お互いの信頼をベースに紹介し合うような関係性を築くことができれば、誰かが地域の暮らしで困ったときにも、アートが提供できるような活動へとその人をつなげられる可能性が増えると思うのです。
大切なのは、「すすんで、結ぶ」その結び目の先に居る一人ひとりへの想像力を養っていくこと、そして結び目が一人ひとりの希望を見いだす機会になることなのではないかと感じます。「水先案内人」たちは、そういう小さな営みを積み重ねて、街が地域が希望に満ちた場所であるために愚直に努力を続けるような人たちというイメージを持ちました。とても示唆に富む提案だったと感じます。グループの皆さん、お疲れ様でした!